きらめく光が降り注ぐクラシカルな喫茶室古き良き空間でぜいたくな時間を
きらめく光が降り注ぐクラシカルな喫茶室
古き良き空間でぜいたくな時間を
馬車道十番館 喫茶室【神奈川県横浜市】
2025.12.19

まるで明治時代の洋館のようなアーチ状のステンドグラスに重厚な家具、店先に配されたガス灯……。ゆったり流れる時間の中、ケーキや香り高いオリジナルブレンドのコーヒーを楽しもう。

ステンドグラスの光が彩る喫茶室

幕末に開港し、新しい文化の発生地として栄えた横浜。日本で初めてガス灯が灯ったこの場所には、今もどこかハイカラな雰囲気が残る。関内駅から6分ほど歩くと、かつては積み荷を運ぶ馬車が行き交っていた馬車道エリアに、どっしりとしたれんが造りの洋館「馬車道十番館」が現れる。この1階が喫茶室だ。

店の創業は1970(昭和45)年。建物は5階建てで明治時代の西洋館を模している
ガス灯はこの店のシンボル

店内に一歩足を踏み入れると、吹き抜けの圧倒的な開放感が広がり、磨かれた床にはステンドグラスの光が艶やかに反射する。装飾が施された木製家具から照明、間仕切りなどの細かな調度までが、この店のためにつくられたオリジナルだ。大量生産品にはない温かみと佇まいに、補修をしながら大切に扱ってきた店の歴史を感じる。

間仕切りのガラスにも細かい装飾が。一枚一枚違う絵柄で開港当時の様子が描かれている
窓の前や階段脇など、各所に置かれたアンティークの装飾品にも注目

建物内は、廊下や階段にも古い写真や絵画、創設者が集めたガラスコレクションなどが飾られているほか、喫茶室以外のフロアにもバーや本格的なフレンチレストラン、結婚式や披露宴に利用できる大小の宴会場もあるので、ぜひ見て回りたい。喫茶室以外のフロアを見に行く場合はスタッフへ確認を。

丸型ショートケーキやクリームソーダに心ときめく

メニューに並ぶのは、オリジナルブレンドのコーヒーや喫茶店の定番クリームソーダ、ケーキやプリンなどのスイーツの他、カレーやサンドイッチといった軽食もあり、目移りしてしまう。

クリームソーダ1045円

1番人気は、「ひとり用のホールケーキ」というイメージから生まれた丸型ショートケーキ。ふわふわのスポンジ生地と軽い口当たりのホイップクリームがたっぷり。少し大きめサイズで、ホールケーキを独り占めするぜいたくを満喫できる。
常連さんの人気が高いのは、創業当時からのメニューでシンプルなケーキのサバラン。シロップがしたたるほど染み込んだ生地は、一口ごとに洋酒の風味がじゅわっとあふれ、しっとりとしたクリームと口の中で溶け合う。ピスタチオやレーズンがいいアクセントで、これぞ大人の味。この空間で味わうのにぴったりの一品だ。

ショートケーキ968円(左)、サバラン550円(右)。馬車道十番館オリジナル・ティー935円はティーポットで提供される。温かさを保つティーコゼーがかわいらしい
コーヒーは注文が入ってからドリップし、スタッフが目の前で注いでくれる

コーヒーは、厳選されたブルーマウンテンをベースに上質なコーヒー豆をバランス良くブレンドしたオリジナル。コーヒークリームとコーヒークリームを半立てしたホイップクリームの2種類が付く。クリームをたっぷり入れて、ミルクコーヒーにして飲むのが十番館流。まろやかで優しい味わいが楽しめるので、「コーヒーはいつもブラック」という人にもぜひ試してみてほしい。

馬車道十番館オリジナルブレンドコーヒー935円

お土産には、ガス灯の模様が型押しされた「ビスカウト」を

ビスカウト1枚206円。中のクリームは、レモン、チョコレート、ピーナッツの3種類

1550(天文19)年ごろ、カステラなどの西洋菓子とともに伝来したといわれるビスカウトは、厚みのあるさくさくした食感のビスケット。中にクリームを挟み、優しい味わいだ。文明開化の象徴で、店のマークにもなっているガス灯の模様が横浜らしいとお土産に人気。かわいい缶に入った詰め合わせもあり、プレゼントにも最適だ。異国情緒を感じる伝統の味を、ぜひ持ち帰ろう。

馬車道十番館 喫茶室

住所
神奈川県横浜市中区常盤町5-67
電話
045-651-2621
営業時間
10:00~21:30LO
クレジットカード
利用可
交通系IC
利用可
定休日
無休
URL
https://www.yokohama-jyubankan.co.jp/tearoom/
  • 文/ミヤウチマサコ(アド・グリーン)
  • 写真/岩堀和彦
  • ※情報は2025年11月時点のものです。
  • ※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
  • ※表記されている料金は、特別な注記がない限りすべて税込みです。
  • ※年末年始、大型連休、お盆休みなどは一部省略してあります。