京都食材と健康にこだわったチョコレート
京都食材と健康にこだわったチョコレート
COCO KYOTO 本店【京都府京都市】
2024.09.26

"京味シリーズ"など京都食材を使ったチョコレートで知られる「COCO KYOTO」。白砂糖や添加物を使わず、「健康」を意識して一から手作りしています。チーフパティシエの横田克久さんにお話を伺いました。

カカオを通じて喜びと健康を

横田さんはインターナショナル・チョコレート・アワードで数々の賞に輝いた。2020年には各部門にてシルバー賞とブロンズ賞を受賞し、史上最多となる5作品受賞

横田さんは東京のショコラトリーで13年にわたって経験を積み、故郷の京都に戻られたそうですね。COCO KYOTOにはどのような経緯で入られたのでしょうか。

横田京都センチュリーホテルで製菓長としての勤務を経て、当店の立ち上げから参画しました。もともと洋菓子の中でもチョコレート作りが好きだったので、一からチョコレートを作るビーントゥバーが魅力的で。2016年に御幸町店からスタートし、2019年に本店、2021年に西院店をオープンしました。

町家を生かしたCOCO KYOTO本店。イートインスペースがあり、パフェやかき氷なども味わえる

白砂糖や添加物、小麦粉も不使用と伺いました。なぜ「健康」がテーマなのですか?

横田カカオは昔から薬として用いられるほど栄養価が高い食べ物です。しかし苦いので砂糖で甘みを加えるのですが、白砂糖やグラニュー糖はGI値が高い。そこで当店では、カカオの栄養を摂取できて体にも良いものを届けたいと、ココナッツシュガーやアガベシロップ、羅漢果といったGI値の低い天然甘味料で代用しています。焼き菓子やケーキにも米粉を使い、グルテンフリーを徹底しています。

カカオ豆はインドネシア、タンザニア、ベトナムなど十数カ国から仕入れる。すべて無農薬やそれに近い農法で育てたオーガニック産品
カカオは生産国によって酸味や苦みが違う。「だから面白くて、のめりこんでしまいました」と横田さん

チョコレートはマグロと同じ⁉ 熟成が大事

そもそもチョコレートとはどのように作られるのでしょうか。

横田赤道一帯のガーナ、インドネシアといった国々でカカオ豆が育てられ、発酵・天日干ししたものが当店に入ってきます。雑味のもととなる悪い豆や異物を目視で選別し、豆の大きさごとに分けて焼きムラのないよう焙煎します。その後、豆の中にあるカカオニブという種子だけを取り出すために粉砕。ここで出た外皮を風の力で飛ばし、ようやくチョコレートの原料となるカカオニブだけが残ります。

生産国のカカオによって適した焙煎温度や焼き時間があるので、塩梅を見極めながら焼くのが大事という。左はカカオニブで、食べると香ばしい

この時点ですでに気が遠くなるような作業ですね!

横田まだまだ、ここからやっとチョコレートを作る工程に移っていきます。カカオニブの中にはカカオバターという油脂が含まれており、すり潰すことで摩擦熱によってペースト状になっていきます。これがカカオマス、いわゆる純度100%のチョコレートです。とても体に良いのですが苦いので甘みを加えなくては食べられません。そこで、当店では天然甘味料を混ぜてさらに一昼夜かけて磨砕します。翌日、なめらかになっていればテンパリングという成形・冷却作業をし、チョコレートの結晶を整えたら一旦完成です。ただし、できたてをそのまま製品化せず、ここからさらに数日寝かせます。中の結晶が増えて旨みが深まるからです。

テンパリングすることでなめらかな口当たりと繊細な味わいのチョコレートに仕上がるという

寝かせて熟成させるとは、まるでマグロのようですね(笑)。しかしそこまでの手間をかけたチョコレートの価値は、立ち上げ当初から消費者に伝わったのでしょうか。

横田当時は「ビーントゥバー」なんて言葉も浸透しておらず、大手メーカーの何倍もの価格の商品など受け入れてもらえなかった。でもコンセプトは崩さずに、食べやすいタブレットやボンボンショコラなどを提供し続けるうちに、リピーターの方が増えました。同時に商品の幅も広げていき、今では生菓子を含めて30種以上になりました。

ビーントゥバー タブレットは「エクアドル50%」「タンザニア70%」などカカオの産地別・含有率別に選べる
乳製品不使用のビーガンチョコレートや、48℃以下で作るローチョコレートなども

京都から体に良いチョコレートを発信したい

京味シリーズ各1,080円。京都水尾柚子、京都白味噌胡麻、京都玉露焙じ茶、京都煎茶の4種。ホンジュラス産、ペルー産など味に合わせてカカオ豆を変えている

京都の食材を使った「京味」シリーズが興味深いです。

横田東京から戻ってきた時に、京都にはすばらしい農家や酒蔵がたくさんあることに気づいたんです。そんな食材と、チョコレートと掛け合わせて京都ブランドを発信したいと。「京味」シリーズは4種ですが、今後も展開していきたいと考えています。

お店に入った瞬間、カカオの香りがしたのが印象的でした。目の前で作る様子が見られるんですね。

横田今作っているのはホワイトチョコレートです。なぜ色が白いかというと、カカオニブを使わずカカオバターだけで作るからです。こうした発見をしていただくのもオープンキッチンの醍醐味。せっかくビーントゥバーで作っているのだから、大量生産ではできないことをやりたいですね。まだまだ挑戦できることはたくさんあると思います。

ホワイトチョコレートを作る作業。茶色いカカオニブは入れずカカオバターのみなので白色に仕上がる
ココナッツシュガーなどの天然甘味料は白砂糖より粒がやや粗いため、なめらかにするために何度も練らなくてはならないという
気軽に買えるミニタブレット各300円。ペルー50%、マダガスカル62%、ベトナム85%の3種
ガナッシュサンドクッキー。プレーンショコラ500円と宇治抹茶ショコラ550円があり、クッキー生地は米粉で作られている
こちらも米粉で作られたグルテンフリーの「COCOチョコロールケーキ」。ビターなチョコレートのスポンジとまろやかなチョコクリームのバランスが良い。1本2,600円
店頭にはバータイプ、ボンボンショコラ、ロールケーキにテリーヌなど30種ほどの商品が並ぶ。ほぼすべてオンラインショップでも購入できる

COCO KYOTO 本店

住所
京都府京都市中京区西ノ京三条坊町15-3
電話
075-874-4870
営業時間
10:30~18:30(イートインは~18:00LO)
定休日
火曜
URL
https://coco-cacao.jp/
  • 文/猫田しげる
  • 撮影/三國賢一
  • ※上記の情報は2024年9月現在のものです。
  • ※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
  • ※表記されている料金は、特別な注記がない限りすべて税込です。
  • ※年末年始、大型連休、お盆休みなどは一部省略してあります。