深みのある茶色のシロップをソーダで割って味わうクラフトコーラ。「イヨシコーラ」はその専門メーカーの先駆け的存在として知られ、原料の調達から製造を手がけている。代表の"コーラ小林"こと小林隆英さんにお話を伺いました。
「好き」を追求し、和漢方職人の祖父からヒントを得て生み出した
なぜクラフトコーラ作りを始めたのでしょうか。
小林私自身がコーラマニアで、趣味で世界中のコーラを飲み歩く中で、究極のコーラ作りにチャレンジしたいという思いが募り、自宅でコーラ作りに挑戦したのが始まりです。何よりインターネットで100年以上前に書かれたとされるコーラのレシピを見つけたのも大きかったですね。
スパイスはどう合わせるのか、柑橘類は煮出すのか、皮だけ削ってオーブンで焦がすのか、割合はどうするのかと、試行錯誤の連続でした。そんな時、和漢方職人であった祖父の自宅兼工房の遺品整理のために実家へ帰省しました。工房に残されている古い資料や道具を整理するうちに、和漢方のレシピがコーラ作りに生かせるのではないかと思うようになりました。
秘伝なのではっきりとは言えないのですが、火入れや製造の工程を見直してみたところ、格段に風味や味が良くなったのです。
工房を立ち上げたきっかけはありましたか。
小林自宅で試作をしていたコーラを友人に飲んでもらったところ、おいしいという評判を得ました。それならと祖父の工房を使って本格的にクラフトコーラ作りをスタートし、キッチンカーで移動販売を始めました。
会社のシンボルであるカワセミは、鳥でありながら水中に飛び込んで魚を捕らえる果敢に挑む姿に感銘を受け、「手作りできない」「体に良くない」というイメージがあるコーラの常識や固定観念に挑戦していくという思いから採用しました。
イヨシコーラのおいしさの秘密
クラフトコーラ作りにおいて最も大切なことはなんですか。
小林イヨシコーラの最大の特徴は、コーラの実をはじめ、シナモンやナツメグ、カルダモンなど10種類以上のスパイスと、レモンやライムなどの柑橘系を合わせたシロップであるということです。
このシロップ作りが重要で、味を左右する温度管理に最も気を配っています。温度を管理するための火入れ方法は、漢方の製法からインスピレーションを受けています。
現在販売しているクラフトコーラは何種類ありますか。
小林移動販売車の時から提供している青いラベルの炭酸と割って味わう「魔法のシロップ」、キャップを開けたらすぐ飲める「IYOSHI CRAFT COLA」、缶タイプの「イヨシコーラ」の3種類が定番です。これ以外に季節の限定フレーバーが登場することもあります。
自宅で味わう場合、グラス半分ぐらいの氷を入れてキンキンに冷やした炭酸水を入れてください。割合としては炭酸水3、シロップ1が目安でおいしく味わえます。
新たな工房や新規出店のその先に考えること
今後の展開やチャレンジしたいことを教えてください。
小林大きく3つあります。一つ目は、第2工房を立ち上げたいですね。今の工房では生産量も限られますし、広さや設備などの問題で作業できない部分もありますので、いずれ一連の作業ができる大きな工房を造りたいと思っています。
二つ目は、都内に直営店をもう1店舗増やしたいということです。現在は、この工場がある下落合と、渋谷神宮前にあるスタンドスタイルの2店舗のみですが、3店舗目を考えています。
三つ目は海外進出です。イヨシコーラの輸出や、海外店舗を展開したいと思っています。
最終的には、多くの人にクラフトコーラの製造工程を見学してもらえるファクトリーストア兼事務所を建て、イヨシコーラの魅力を知っていただける場所をつくりたいと思っています。
イヨシコーラ
- 住所
- 東京都新宿区高田馬場3-44-2
- メール
- info@iyoshicola.com
- 営業時間
- 13:00~17:00
- 定休日
- 月~金曜(※土・日曜、祝日のみ営業)
- 文/千葉香苗(アド・グリーン)
- 撮影/岩堀和彦
- ※上記の情報は2025年2月現在のものです。
- ※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
- ※表記されている料金は、特別な注記がない限りすべて税込です。
- ※年末年始、大型連休、お盆休みなどは一部省略してあります。


